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おっさんずラブに見る、視聴者(主に女性)が本当に観たいドラマとは

おっさんずラブ、終わってしまいましたね。

視聴率や視聴熱に始まり、テレ朝ドラマ史上初の快挙を続々と成し遂げて、若い制作陣の力を見せつけてくれました。こんなに若い芽が視聴者から大絶賛され社会現象化していたら、制作陣の方々が社内でちょっと肩身の狭い思いをしていないかおばちゃんはそれが心配ですが。

だってほら・・・ねぇ?手放しで拍手してくれる人ばかりじゃないだろうし・・・ねぇ?若い芽を鬱陶しく感じちゃう古い頭を持った人もいるかもしれないし、と老婆心。

でもまぁテレビ局内に限らず、社会というのはそういうしがらみがたくさんあると思いますので、おっさんずラブを生みだしてくれた神制作陣の方々は、今後やりにくいなぁと思うことがあってもどうか頑張って頂きたいと思います。だって本当に、あのドラマは素晴らしかったから。本当に面白かったから。

さて色々なメディアでおっさんずラブの何が素晴らしかったか、どこが視聴者を熱狂させたのかが唱えられていますが、OL民なら分かることでしょうが大事なのは男同士(BL)(この場合OLだけど)だったからではありません!!

ここを履き違えている人は結構多いと思う、特にBLに今まで縁のなかった人は。

おっさん同士のピュアな恋愛がキャッチコピーだったから、解析する人はどうしても「おっさん同士」という前代未聞のワードにポイントを合わせがちですが、おっさん同士だったのが一番の理由ではないと私は思います。

では何が素晴らしかったのか?はるたんと牧がイケメンだったからなのか?

そりゃ顔は良いにこしたことはありません。イケメン同士が恋に落ちるなんて最高です。でもそれだけじゃないんです。ていうか、イケメンだからというのはプラスαにしかならず、根本的な理由ではありません。

なぜこのドラマがこんなに支持されたのか。その理由はいたってシンプルで、

 

・演者の演技が素晴らしかったから

・展開(内容)が理想の少女漫画だったから

 

このふたつに尽きると私は思います。

まず、なぜ男同士じゃないと言い切れるのかについてですが、このドラマの視聴者層はほぼ女性であることは確実で、かつ「BLを知らなかった、興味なかったけどドラマにハマった」という人と、「すでにBLを嗜んでいてBLに免疫のある人がドラマにハマった」の2種類あると思います。

そして後者の「BLに免疫のある人(すなわち腐女子という人類)」が圧倒的多数だったことは、もちろんこのドラマの特異性もあり当然のことだったとは思います。

ただここで誤解しないでほしい。「BLが好き=おっさんずラブは当たるだろう」なんて放映前にもし制作陣が考えていたとしたら、このドラマは絶対にコケていたと思う。

なぜならBLが好きでBLを嗜んでいる人々は、もうすでに腐るほど(腐ってるけど)何百何千というBL漫画やBL小説を読んでいて、BLに関する知識はもちろんのことBLのことを何も知らん奴らが「適当にイケメン絡み合わせときゃ腐女子がキャーキャー言うんだろ」と鼻クソほじって作ったようなナメた作品を超敏感に感じ取り心の底から嫌悪するからです。

BLが好きだから、BLの王道を知っているから、BLを知らない奴が作ったなんちゃってBLには絶対に萌えることはないのです。

想像してみてほしい。自分が大好きで大好きで超コアだと自負している自分の聖域とも言える分野に、ちょっとブームになったからってにわかファンが「私も好きなんですぅ~」「俺もコレ超イイと思うんだよねぇ」と擦り寄ってくるあの寒々しさを。

だけどこのコアなファンは、自分と同じくらいの知識を持った人だけと交流したいワケじゃない。お互いの知識をひけらかしたいワケじゃない。流行っているからと知ったかでファッション感覚で自分達と仲間ヅラされるのが腹が立つだけなのである。

「最近気になり始めたばかりで全然詳しくないんだけど、でも無性にこの人達の関係性に惹かれてしまうの・・・なぜだか分からないんだけど、この人達がこうしてるとすごくすごく幸せな気持ちになるの・・・なんでなんだろう?」と自分の心の動きに素直に、自分が何を求めているのか分からないけど分かりたいと思っている、未知の世界が怖いけどどうしようもなく惹かれてしまう、そういう人とは喜んで同じ世界を知ってほしいと思う。それが腐女子なのではないでしょうか。

 

つまり、制作陣が「腐女子をターゲットに腐女子を釣るためにBLを作ろう」として作った作品ならば、絶対にあんな大ヒットはしなかったと断言できます。腐女子が最も嫌うことですから。

色んなインタビューでもプロデューサーさんや脚本家の方がおっしゃっていますが、BLを意識して作ったのではなく、人間が純粋に人間を好きになる、それに付随してくる様々な障害の中のひとつとして、男同士の恋愛があっただけ、と。だから、これは同性愛をテーマにしたドラマではないのですと。

本当にそうだと思います。そして主演の3名はもちろんのこと、全ての演者が役を通してこの作品の中で生きて、演者もドラマの中の人達を応援してドラマを愛していたから、あんなに観ている人の心を震わす作品に仕上がったのだと思います。

林遣都様の演技の素晴らしさは過去の感想でも書いているので割愛しますが、とにかく役の中の人達の愛が素晴らしかった。視聴者は本気でドラマの中のはるたんや牧達に共感し、涙したのです。事務所のゴリ押し女優や俳優が一人もいなかったからこその成功だと思います。

 

そしてもうひとつ、「展開が理想の少女漫画だったから」。

BLというのはですね、確かに男同士の恋愛模様ですが、内容は完全に少女漫画なんです。古代から伝わる少女漫画の典型なのです。

最近のヤッたヤらないの下劣な少女漫画ではありません。

手が触れてドキッとしたり、片想いが切なくて涙ぐんだり、壁ドンされて想いを告げられたり、やっぱり自分なんかより○○ちゃんの方がお似合いだよね、と身を引いたり、好き過ぎるから別れたり、でもやっぱりどうしてもお前じゃなきゃダメなんだって分かったり・・・。そういう、きゅんきゅんして甘酸っぱくて切なくてどきどきしちゃう、そういう少女漫画的展開なんですBLの根本は!!!!!

なぜって?そりゃ読む人間が少女漫画が好きだからでしょ???

少女は大抵、少女漫画で恋を知ります。少女漫画のヒーローが初恋だったりするんです。真壁くんに恋してスマシタイマヤジオトイヨチ~と呪文を唱えたり、スドーザウルスのぬいぐるみを抱いて眠ったり、花沢類に恋して非常階段を探してみたりと、とにかく甘い甘い初恋を経験するのです。

それからりぼん、なかよしを卒業して中学・高校に上がる頃、なんか今までの少女漫画とはちょっと雰囲気が違う妖しげな魅力に惹かれて花ゆめデビュー、そうした人達が腐女子になっていくのです。少年がジャンプとギターを通過するのと同じです。

少女漫画で育った少女漫画脳の腐女子が求めるもの、それは安心できる少女漫画的展開と、主人公を絶対に離さないで抱きしめて主人公だけを愛し抜いてくれるダーリン(スパダリ)です。そこまでの展開は紆余曲折あっても、結局最後は大団円なのです。

それを成し遂げてくれたのが、おっさんずラブだったのです。

キャラ全員悪い人がいない、キャラ全員に幸せになってほしい、でも主人公とダーリンは絶対絶対結ばれてほしい、そんな純度の高い少女漫画が、おっさんたちによって完成したのです。そりゃ視聴者は大喜びする。だってこれが、これこそがドラマに求めていたものだもの!!!!現実には到底できない純愛なんだもの!!!!理屈じゃなく感動するんだもの!!!!!

男同士だからイイってもんじゃねーんだよ!!!!!と、勘違いしている人に言いたい。いや勘違いしてるだけならまぁそれはそれで放っておけるけど、今後他局が「BLは視聴率が取れる」と勘違いしてしょうもない棒のイケメン使ってイチャイチャさせるだけのクソドラマを作らないとは言えないことが怖いのである。

逃げ恥があんなにヒットしたのも、ヒロインカップルがピュアでかわいくて観ているこっちがきゅんきゅんして応援したくなる、嫌な人が出てこない、みんなそれぞれ悩んでるけど前向きに頑張ってる、みんながヒロインカップルを応援してる、という安定感が受けたんだと思います。おっさんずラブと何ら変わらない。視聴者が望んでいるのは、質の良い演技と質の良い純粋な少女漫画なんです。たったこれだけ。

ドラマ制作陣やテレビ局は視聴率をとりたいなら、視聴者が本当に観たい内容をちゃんと把握して、ドラマを愛して作ってほしい。

タレントありき、事務所ありきのドラマなんて、誰も観たいと思っていないんです。