おっさんずラブを観る目的といえばそりゃ本題のおっさんたちのラブを見守ることはもちろんなのですが、もうひとつ楽しみなのは舞台が不動産会社ということです。
私は小学生の頃から家の広告が大好きで、カラーチラシの家の写真を切りぬいて集めてはホッチキスで留めて眺めるという性癖の持ち主でした。
家の外観が好き、家の造りを知るのが好き、間取りが大好き。間取りを見ながら持っている家具を当てはめる(脳内で)のが好き。間取りを見ながらどんな家具がいいかな~とネットで素敵な家具を探すのが好き。などなど、とにかく家が好きなんです。
だから間取りの本を読んだり賃貸サイトの物件を見たりするのも大好きなので、物件好きが高じて賃貸会社の物件写真撮影スタッフというアルバイトをしたことがありました。自分が結婚して新居を探している時もめっちゃくちゃ楽しかったんですが、入居前のハウスクリーニングされた部屋を何件も何件も撮れるんです。これは私の性癖にぴったりマッチしたアルバイトでした。
その1.出会い
そもそもなぜ専業主婦サイコー主義の私がアルバイトをしようと思ったかというと、まぁ単純に通帳記入後の残高を見て血の気が引いたからです。
土地を購入、家を新築、そろそろ引越しと立て続けにお金がフライングダイナソーしてゆき、このままではさすがにヤバいと危機を感じた私は、せめて引越し代だけでも稼ごう…と重い腰を上げてハロワへ向かいました。
しかし私は根っからのインドア派で専業主婦バンザーイ一生家にこもって暮らせるぜ!ってくらい外に働きに出るのが嫌いです。なのでどうせ働かないといけないのであれば時給の良いとこで短時間のパートがいい!とナメた感じで職探しを始めました。
時給900円以上、短期、3時間~、週3日程度OKとかいうゆる~い条件で、チェック項目は「事務」と「不動産」にしました。もともと家が好きなので、不動産関係ならたくさん家や間取りが見られるかなという期待と、不動産は給料が良いという根拠のない確信を持っていたので、きっとアルバイトでも時給いいはず!と決めつけていたのでした。
わりかし間違ってはいなかったと思うんですが、時給1100円で物件写真撮影のパートがありました!!!!
即申込、後日面接という流れで職安終了。この晩、何年かぶりに熱を出しました(働かないといけないというプレッシャーで)
その2.アルバイト開始
私の場合は数ヶ月後には引越す予定だったので、短期OKや契約期間の定められているバイトを探しました。折りしも12月の頭だったこともあり、年末年始の繁忙期バイトなどが多かったのです。
そして賃貸会社といえば、4月からの新生活に向けてちょうどこれから3月末にかけてが超忙しいとのことでバイトを募集していました。まさかバイトで物件写真撮影ができるなんて!!まさに趣味と実益を兼ねた私にうってつけの高収入バイトです。
履歴書に、いかに間取りが好きか、家が好きかという情熱を書きならべ、めでたく合格。翌週から家の近くの店舗で採用が決まりました。
一眼レフカメラと360°撮影カメラと三脚を持って、物件の地図を持って車で色々撮りに行きました。内容は予想していたのより50倍くらいハードで、「完全ナメていた・・・」と初期は落ち込みました。
3.仕事内容
車で物件まで行き→外観、室内(シャッターを全て開けて)、設備まで約15ヶ所を撮影、360°カメラでも5ヶ所撮影、その後シャッターを全て閉めて鍵をかけて退室という一連の動作を約30~40分でしないといけないんですが、これがなかなかめっちゃ大変なんです。
初めのうちは3時間かかっても、1部屋の写真が完璧に撮れなかったです。いやいやそれアンタの要領が悪すぎるんだろと思われるかもしれませんが、いやほんとに難しいんです。家でパソコンからカチカチクリックするだけでボケっと見ていた内見写真があんなに難しいものだとは、本当にやってみないと分からないものだと痛感しました。
店長にもきつく叱られ、アラフォーにもなって自分よりだいぶ年下の店長にこんなに怒られるなんて情けなくて恥ずかしくて…でも確かに3~4時間のバイトで1軒しか撮れないってさすがに給料泥棒すぎると自分でも申し訳なさで一杯だったので、毎日家に帰ってノートを見返し、何度も何度もイメトレしました。気分は十数年ぶりの新入社員です。
物件写真の撮り方のコツは、プロの写真家の講習を受けたと社員さんが言っていました。どちらかというと写真を撮るのがヘタだと色んな人に言われる方なので(それもどうかと)、写真を撮るのが好きな方にとっては朝飯前なことが私にはなかなかできず大変苦労しました。
そのコツが、おっさんずラブの公式ツイッターで紹介されている、はるたんが牧くんに渡した「春田流 営業虎の巻」の中の「物件写真を上手く撮るコツ」に全て完璧に書かれていて感動しました。このドラマはこういう細かいところまで設定が完璧にされているのが楽しいですね。
あと車で物件まで行くんですが、車一台がギリギリ通れるかどうかくらいのほっそいほっそい道を走らなくちゃいけなかったり、路駐せざるを得ない場所に物件があったり、気を抜いたらバックで滑り落ちてしまいそうなジェットコースターで頂上に向かうくらいの高度の坂を上ったりと色んなスリルもありました。こんなとこにも家があって、人が住んでるんだ…。そういう場所を毎日通っている郵便配達の人や宅配業者、引越し業者の方など、本当に大変だなぁとしみじみ実感したのでした。
社員さんは良い人ばかりで本当に親切で、たかが3ヶ月間の足手まといなパートのために色々と良くしてくださって、職場には恵まれていたと思います。やはり地域によってはめちゃくちゃハードで人間性もひどい店舗もあると聞いていたので、社員さんはみんな仲良しで居心地は良かったです。天空不動産の方がもっともっと楽しそうだけど(笑)