ドラマみたいに生まれてすぐに赤ちゃんの産声が聞けると思っていたのですが、なかなか聞こえてきません。
助産師さんと先生が何か話していて、すぐに小児科の先生が呼ばれてきました。
え、なに?なんかあった?
まだ意識がハッキリしていなかったので、夢うつつな感じでそのやりとりを見ていました。
赤ちゃんの口にスポイトを入れて吸引してるんですが、それでも元気な産声は聞けないままでした。「ええん・・・」みたいなやる気のない声だけ。
その後すぐにカンガルーケアをさせてもらい、しばらくは赤ちゃんと私と主人でまったりしていました。いろんな角度から赤ちゃんの写真を撮りまくる主人。子煩悩親バカパパ誕生の瞬間でした。
どうやら新生児仮死という状態だったらしいのですが、本当に軽いものなので心配ないですよと説明され、念のため今晩はGCUで様子を見ますと連れていかれました。
GCUとは・・・
GCU(じーしーゆー、Growing Care Unit)とは、NICU(Neonatal Intensive Care Unit)での治療で、ある程度状態が落ち着いて、保育器(クベース)無しでも自力で体温管理・呼吸ができるようになった未熟児や、少し小さめに生まれた新生児が入院する治療室のことである。
継続保育室、継続保育治療室などと呼ばれる。
引用元:看護roo!
出産は22時頃だったのですが、その後の処置やらなんやらで主人が帰る頃には2時近くになっていました。主人は私のマッサージで相当疲れていたようですが、私はいわゆる産後ハイの状態で、アドレナリンが出っぱなしで全然眠くありません。
でも身体は絶対疲れているだろうから、なんとか寝てくださいねーと助産師さんに促されLDRで一晩を過ごしました。
「あー私、とうとう産んだんだ・・・」
嬉しいとか感動とかそういうのよりは、やり遂げた―という達成感のみでしたね。
分娩直前に点滴を外したので、3ヶ月ぶりに点滴のない自由な腕に不思議な感じがしました。相棒とも呼べるくらい24時間毎日共に過ごしてきた点滴なので、いないとちょっと寂しくも感じました(笑)
翌朝、循環器内科の担当の先生がやってきて、今後の説明やエコー検査の予定などを伝えに来てくれました。いつものことなんですが淡々としていて事務的で、おめでとうもない・・・そりゃ関係ないもんね。産婦人科でいかに蝶よ花よと甘やかされていたのかが分かります。
産婦人科では「リリーさんおめでとう!!」「やりましたね!ついにですね!」「かわいい赤ちゃんですね~~~」と色んな看護師さんからちやほやされていたので。
ママがストレスを感じずにリラックスして入院生活を送れることを重点的にケアしてくれてるんだなぁ、と改めて実感。
さて私の状態ですが、出産前に血栓が溶けたのですが、出産後にもう一度検査をして原因を調べてもらうことになりました。
もともとの遺伝性の原因(血液凝固障害)があるのか、それとも妊娠中だけの症状だったのか、特に原因は見当たらないが発症してしまう体質なのか、それをハッキリさせて今後の予防対策を立てるというものでした。
出産後はへパリンもワーファリンを服用することもせず、とりあえず一ヶ月後にエコー検査をし、再発していないか調べるということで私の方の予定は一段落しました。
しかしここで問題が!!
新生児仮死でGCUに行った我が子、翌日にはもう母子同室になれたのですが、今度は黄疸が強いということで、再度GCUにお世話になることに・・・。
黄疸てナニ?状態+産後のマタニティブルーにより、ものすごくマイナス思考かつ涙もろくなっていた私は、小児科の先生の専門用語だらけの意味不明な説明や、それをこっそりフォローしてくれた看護師さんの優しさや、またGCUに連れて行かれる我が子を見送った時の心細さで、一人ベッドでしくしく泣いていました。
大部屋の母子部屋に移っていたため、他の産婦さんはみんな赤ちゃんが隣にいて賑やかに泣いたりおっぱいをあげたりしていたのに、私だけは赤ちゃんのいないベッドで一人でご飯を食べ、一人で寝て、3時間置きにGCUへトコトコ歩いておっぱいをあげに行っていました。(1ccくらいしか出ないのに)
今考えたら最高なシチュエーションなのですが、当時の私は劣等感に苛まれてちゃんと健康に産んであげられなかったと(思い込み)自分をすごく責めていたのです。
黄疸が強いくらい、なんてことないんですが。看護師さんも、「じゃあ日焼けサロン連れていきますね~」って冗談ぽく言いながら子供を連れて行ってくれたんですが、マタニティブルーの私にはそれがすごく心ない言葉に聞こえて、更に胸を痛めて泣いていたという・・・
まさに日焼けサロンで今となっては笑っちゃうことなんですが。
そして退院を翌日に控えた日、赤ちゃんの状態次第では赤ちゃんだけ1日入院延長になると言われ、もう心折れまくっていた私。
すると、私が分娩指名をお願いしていた大好きな助産師さんが師長さんに話をしてくれ、私の入院を1日延長してくれました。
お母さん一人で退院するより、赤ちゃんと一緒に退院してほしいので!と私に言ってくれ、また私は涙涙涙・・・。でもそんなこといいんですかね?と心配になって聞いたら、「師長も「リリーさん?ああいいわよ」と二つ返事でOKでしたよ!」と。
長期入院してると看護師さんたちも情が移るのか、色々おまけしてもらえて良かったです(笑)しかも私はかなりこの病院の居心地が良かったので、あと1ヶ月は赤ちゃんと一緒に入院していたいくらいでした。もしこのまま家に帰っても、多分ホームシックならぬ病院シックになるだろうなぁと思うくらい、この病院も看護師さんも食事も大好きでした。
そんな健康人間の願い叶うはずもなく、それでも看護師さんのいきな計らいで、無事私は出産一週間後に赤ちゃんと一緒に退院。丸3ヶ月(ジャスト100日)の入院生活を終え、久々にシャバの空気を吸ったのでした。
つづく