天国だったワンルームMFICUでの生活は2週間で幕を閉じ、元の大部屋へ戻って数日後、今度は小児病棟へ移ってもらいますと師長さんからお話がありました。
「なんか慌ただしくてすみません」と申し訳なさそうに謝られましたが、まぁもともと産婦人科の患者じゃないのでしょうがないです。そこは別に不満はありません。
引っ越しも全てナースエイドさんがしてくださるので、私は基本、点滴と一緒に歩いていけば良いだけなのです。
小児病棟は産婦人科病棟とは全く内装が違っていました。
産婦人科病棟は基本妊婦さんが入院するので、妊婦さんは血圧が上がるといけないためカーテンも閉めきられていて床も絨毯のようなマットですが、小児病棟は床もリノリウムで、壁紙はパステルカラーで動物の絵がたくさん書かれていてすごく可愛かったです。そりゃ子供が入院するんだもん、可愛くないとね。
看護師さんも保育士さんみたいなエプロンで、キャラクターのバッジをたくさんつけていました。
小児病棟はたいていどこの病院でも、ベッドが足りなくなった時に部屋を提供してくれるらしいです。子供は緊急の入院でない限りは、学校の休みに合わせて入院するので平日はガラガラなんだそう。
私は、一番端っこのまたも個室を宛がってもらいました!ひゃっほー!
産婦人科病棟は東に位置していたため、朝だけ明るくて日中はほぼ暗いんですが、小児病棟は西に位置していたため夕方になるにつれ明るく、暑くなってきます。私が移ったのは4月後半だったので、さすがに夕方は暑くて参りました・・・
でも子供にはこれくらい明るい方がいいなぁと思います。
小児病棟では子供が採血を嫌がって大泣きしていたり、夜中も赤ちゃんが泣いていたり、お母さんが看護師さんに少しだけ見てもらってその隙にコンビニにご飯を買いに行ったりしていて、子供も可哀想だけど親は本当に大変だなぁと思いました。
付添い用のベッドだって簡易なもので狭いし、しかも大部屋となるとカーテンの中に収まらないといけないので全然身動きとれないし・・・
などなど色んな事を悶々と考えて結構ブルーになったので、早く産婦人科病棟に戻りたいなぁ~と思いつつさんまを観ていた私なのでした。
私の他にも長期入院している妊婦さんはいましたが、私のように病室や病棟をコロコロ変わる人はいなかったので、掃除のおばちゃんが私の部屋に入って来て「あらっ、こんなとこに来てたんですか!」と言われることが多々ありました(笑)
掃除のおばちゃんも毎日毎日掃除だけしに来ていて、基本患者さんとはあまり話さないようにしているようでしたが、私は恐らく落ち込んだりしんどそうに見えなかったんでしょう、結構気さくに話しかけてくれました。
私が八朔を食べていたら「アタシが妊娠した時はね、レモン生で5個も食べてたの!」とか、「ほらこれ、ウチの子なんですよ~犬なんですけどね(携帯待受)」とか、おばちゃんの職歴とか教えてもらいました。
結局産婦人科に戻って来ていいよーとお呼びがかかったのは正産期に入ってからでした。
この時のエコー検査では血栓は完全に溶けてなくなっていたため、とりあえず出産後に血栓が飛ぶ心配はなくなりました。
小児病棟の看護師さん達にお世話になりましたとお礼を言って、産婦人科病棟へ。
看護師さん達が「リリーさんお帰りなさい!」「やっとですね!もういつ出てきても大丈夫ですもんね!」と笑顔で迎えてくれて、もう何ていうの、ここが私のホームなんだ・・・!!とね。帰って来たんだ・・・!!とね。この病棟が大好きになってました。
最近はどこの病院でもバースプランというのを実施していますが、この病院でももちろんあり、さらに助産師指名制度がありました。自分の好きな助産師さんを指名して、分娩を担当してもらうのです。
私は特別に好きな助産師さんが二人いたので、二人を指名しました。
私のことを私以上に考えて色々プランを練ってくれたり、私だけに浴槽でのお風呂を用意してくれたり(妊婦さんは体調が急変することがあるので基本シャワーのみなんですが、私はいつ生まれても良い状態だったので)、私が個室の時にお話に来てくれて結構個人的な話など聞かせてくれたりして、私は彼女達がすごく好きになっていたんです。自分が男だったら結婚申し込みたい!と思うほど大好きでした。
だってすごくないですか?女って同じ女のイヤな部分は見えてしまうもんじゃないですか。なのに彼女達からは全然そんなところが見えなかったんです。穏やかで、優しくて、いつも笑顔で接してくれる。でもそんな博愛な人なんてそうそういないじゃないですか。
つまり彼女達は本当にプロで、白衣の天使になりきって私に接してくれていたんです。
決して辛さやしんどさ、本心は見せず、患者である私が快適に安心して過ごせるように。看護師さんてほんと尊い・・・!!と感動の嵐でしたね。
つづく